2008年11月06日

石に化けたアマゴ  PART2

  時々竿(ロッド)の先にある命を確かめながら元糸(ライン)を巻き取り大物の逃げ込んだ岩の近くに来ました。背中に付けたタモ(ランディングネット)を摑んで、竿(ロッド)の緊張(テンション)を保ち、タモ(ランディングネット)を岩の下に入れ、


  これで大物が取れたと、息洋々でネットを引き抜き、重みを感じ、流れからネットをあげると、ネットの底に横たわるはずの大物は岩に変わっていました。


  私は驚きで声も無くし流れにバランスを崩し倒れこみそうになるのを必死にこらえ、ネットの底の岩を見つめると、西洋毛鉤の鉤(フック)が岩にきちんと刺さっていました。掬う寸前まで竿(ロッド)の先には命の鼓動が伝わっている確実に感じていたのですが。アマゴは岩に化けてしまいました。


 上流からサーッと気持ちの良い風が吹き抜けると、なぜか笑みがこぼれました。  

Posted by 西洋毛鉤釣師 at 07:00Comments(2)TrackBack(0)novel